「美術館の楽しみ方が分からない」
「芸術について何の知識もないけど、美術館って楽しめるの?」
こう思っている人って結構いると思います。
芸術って初心者にはハードルが高いですよね。
僕は全くの素人だったのですが、美術館に通っているうちに
「美術館に行くのが趣味」
って言えるようにまで芸術を楽しめるようになったので、自分なりのコツを紹介します。
美術館を楽しむコツ
ひとつひとつを見すぎない
「芸術に興味はあるけど、美術館に行ってみたら疲れるだけだった。とりあえず全部回ってみたけど、なんにも印象に残ってないや」って人多いんじゃないでしょうか。
僕も昔はそうだった。
せっかくお金払って入ったんだから、全部見なきゃって頑張ってた。
楽しむためのものなのに、義務的になっちゃってたんですね。
僕が「美術館楽しい!」って思い始めたのは、
最初の絵からひとつひとつを丁寧に見る必要なんてない
ということに気づいたとき。
いやむしろ
そもそもすべての作品を完全に見るなんて不可能
というべきか。
例えば企画展であれば、30以上の作品があり、それを2時間で回るとしましょう。
全てをくまなく見ようとすれば、1作品あたりに掛けられる時間は4分以内。
説明も一々きちんと読もうと思ったら、もっと時間は減ってしまいます。
美術館は、人類の至高の芸術を集めているわけです。
“完全に”鑑賞しようと思ったら、ひとつひとつの絵に対して数十分、ひょっとすると数時間見ても見足りないかもしれないほど価値を持っているかもしれません。
と考えたら、単に「全部見ないともったいない」という理由、あるいは「全部見て回らなきゃ」という義務感で、「一通り見る」ということを達成をするためだけに、1作品に数分しかかけられないのは逆にもったいなくない?
もちろん「全部をまんべんなく見て回るスタイルが好き」という人はいいけど、そのスタイルを自分に強要してしまうことはやめましょう。
最初から最後までぜーんぶ見ないといけない!
説明もぜーんぶ読まないといけない!
という呪縛に囚われている人は、解放されましょう。
学芸員に「説明ぜんぶ読んだ? 今じゃないともう読めないよ!」なんて言われません。
説明書きなんて、パソコンとかカメラの説明書みたいなもの。
気になったら見るぐらいの気分でちょうどいい。
オススメの美術館の回り方
「じゃあどうやって見ればいいの?」ってことなんですが、もちろん美術館の回り方は自由、人によって合うスタイルで見ればいい。
まだ自分のスタイルがないっていう人には、オススメの回り方があります。
それは、とりあえず最後までパパっと見て、その後気になった絵をじっくり見て回るやり方。
会場から出なければいつでも後戻りはできるので、一周目は気軽に回ります。
一周目が終わったら後ろに戻って、気になる絵、良かった絵、よく分からなかった絵などを自由に楽しみましょう。
もちろん気にいった絵がすぐに見つかれば、一周目であろうが気が済むまで見て楽しんでいいんです。
ただ大事なのは、上でも言ったように、満遍なく見ることを自分に強要しないこと。
一目見て「この絵そんなに好きじゃないな」と感じたら、ひとまずは思い切って飛ばしちゃってもいいんです。
最初からじっくり見ていると、後半は疲れてくるし集中力も切れちゃいます。
最後の方に自分にとっていい絵があるかもしれないのに、そのときに疲れていたらもったいない。
ついでに混んでいる場所があったら最初は飛ばして、あとで人が少なくなったときに見るのもいいです。
目玉作品の前はなかなか人が減らないですが。
美術館は宝探し
美術館は満遍なく回らないといけないスタンプラリーではなく、宝探しだと思いましょう。
もちろん展示されている絵は高いものや貴重なものばっかりなので、そこら中が宝なんですが、今言っている宝というのはそういうことじゃない。
自分にとっての宝という意味です。
自分の好きな絵を見つけられれば、それでいい。
全部を満遍なく見られなくても、何か1つ気に行った絵があれば十分です。
もちろん、「芸術は個人の感想が全て」だというつもりは全然ありません。
“いい絵”には何か普遍的な理由があり、それを理解しようと思ったら美術史やらなんやらの知識は必要だし、それこそ説明書きのことぐらいは知らないと話にならないでしょう。
でもそれは、芸術家や学者など、美術で生活している人の話。
「芸術っていいな」って思えるのには、知識はちっともいりません。
まずは、「美術館は楽しい」「美術館に行けば、自分にとっての宝にあえる」と思えることが重要だと思います。
ちなみに僕が「いいなー」と思う絵には印象派が多い。
ルノワールとかモネとか好きだよ!
え、定番ばっかり?これだからニワカはって?
べつにいいやろ。
こちとらずっとルノワールを喫茶店だと思ってたぐらいのド素人じゃい。
楽しいもんは楽しいんじゃい。
自分の心に素直にいきましょう。
ちなみに印象派は初心者にもオススメです。
なぜなら印象派は風景画が多く、キリスト教や歴史の知識がなくても楽しめるから。
色彩豊かで穏やかな気持ちになる絵がいっぱいです。
「印象派」ってのは、ジャンルの1つだと思えばいいです。
印象派をメインにした企画展はちょくちょくやっているし、多くの美術館には印象派の画家の作品が展示されてます。
「まだ好きなジャンルとか画家とか特にないよ」って人は、印象派に注目してみてください。
なぜ印象派が初心者向けなのかを解説したこちらの記事もどうぞ
美術初心者には印象派がハードルが低くてオススメな2つの理由
音声ガイドは借りても借りなくてもいい!
多くの企画展では、音声ガイドが借りられます。
500円ほどで、展示品のより詳しい説明が聞けるというもの。
音声ガイドを借りた方がいいのだろうか?
正直どちらでもいいんじゃないかなと思います。
ここでも「せっかく借りたんだから頑張って聞かなきゃ」ってなるくらいなら、むしろ借りない方がいい。
僕の経験では、借りなくてもよかったなってことが少なくないです。
美術館の楽しみ方が分かって、もっと色々な知識を知りたいと思うようになってからでも遅くはないかなと。
ちなみに、博物館やお城・宮殿の観光であれば、音声ガイドがあったことでより楽しめた経験が多いので、そこでは大体借りちゃいます。
歩き回っても疲れないような恰好で
美術館を楽しむために案外重要なのは、歩き回ったり立ちっぱなしでも疲れないよう身軽にしていくこと。展覧会場内にはイスはそれほどありません。
美術館内にロッカールームがあるので、展示会場に入る前に荷物はロッカールームに預けましょう。
靴も歩きやすく疲れずらいものを履いて行くことを忘れずに。
また、館内は作品保護のため空調が効いているので外より寒いかもしれません。服装にも注意しましょう。
ミュージアムショップでお土産
展示を心ゆくまで見てもまだ終わりじゃないよ。
美術館にはショップが併設されているので、是非行きましょう。
別に絵を買いに行くわけではありません。
その展示会のオリジナルグッズが売っています。
ポストカードやトートバッグ、オリジナルパッケージのお菓子、展覧会の作品を集めた図録、文房具などなど。
僕はクリアファイルやハンカチなど実用品を買うことが多い。
日常生活で芸術品をつかうって、オシャレじゃないですか?
それがきっかけで話が弾むこともあるし。
マスキングテープもよく売ってるんだけど、あれだけは用途が分からない。
飾り付けとかに使うんですかね?
とにかく本物を見に行こう!
絵や美術に少しでも興味があったら、とりあえず美術館に足を運んでみよう。
やっぱり本物は違うんだなーと思った話があります。
東京西洋美術館のある企画展に行った後、常設展示を見に行きました。
企画展のチケットを買うと常設展示も見れたので、テキトーに回って帰ろかなっと軽い気持ちで行ったら、すっごい良い絵を見つけた。
カルロ・ドルチの「悲しみの聖母」という絵です。
他のフロアに行っては、また「悲しみの聖母」の前に戻ってきたり、遠くから何度も見たりするなど、とにかく吸い込まれそうで綺麗な絵でした。
めちゃめちゃ印象に残ったので、ポストカードを買って帰ろうとミュージアムショップに寄りました。
で、目当てのポストカードを見つけたんだけど、さっきまで見てた絵と全然ちがう。
一瞬「偽物かな?」と思ったぐらい。結局、ポストカードは買わずに帰りました。
本物の絵と絵の写真は違うなんて、もちろん頭の中では分かっていたんだけど、実感できたのはこの時が初めて。
「本物の絵って、本で見るよりぜんぜん楽しい!」って思えたきっかけでした。
逆に言うと、写真で美術品を見るだけだったらただの情報収集に終わってしまい、心を動かされるということはなかったでしょう。
もちろん本やネットで絵を見たり知識を仕入れたりするのも楽しいけれど、本物を見るという体験はそれ以上のものをもたらしてくれます。
百聞は一見に如かず。是非、美術館に足を運んでみよう!
まとめ
楽しみ方さえ分かったら、素人でも美術館を満喫できるよ!
気軽に芸術に触れてみよう!
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