大ヒット作、『英文法の鬼100則』に続く文法書、『英文法の極意』のレビューです。
認知言語学を用い 、文法の気持ちを分かりやすく説明するのがコンセプト。
こちらの記事では、認知言語学の紹介や、『英文法の鬼100則』のレビューを書きました:
いつまで暗記に頼るの? 『英文法の鬼100則』で文法が鬼のように分かる!
この記事では、『英文法の極意』と『英文法の鬼100則』の違いを中心に、『英文法の極意』がどのような人にオススメかを書きます。
目次と構成
『英文法の極意』は5章の構成です。
第一章 英語で人を説得する
第二章 説得のための文型・構文・気分
第三章 名詞の可算不可算性と a の持つ意味
第四章 総称用法と the を使いこなす
第五章 節と修飾句
『英文法の鬼100則』と違い、今回は対話形式になっています。
イラストは減ったものの、分かりやすさや雰囲気にはそれほど違いはありません。
また、前作にはなかった章末問題もあり、自分の理解を確かめることもできます。
ただ、問題の量は非常に少ないです。
あくまで解説書なので、演習書としての使い方は難しいですね。
前作『英文法の鬼100則』との内容の違い
動詞の説明はコンパクト
英語の主役は、やはり動詞です。
文型、助動詞、時制、受動態など、英語を理解するのに必要なポイントの多くが動詞関係です。
『英文法の鬼100則』では、このような動詞の解説がメインとなっていました。
反面、『英文法の極意』では、動詞の説明はあまり多くありません。
第一章で、コンパクトにまとめられています。
動詞からきちんと学習したければ、先に『英文法の鬼100則』を読んだ方がよいでしょう。
冠詞の解説が充実している
a や the など、日本人が苦手な冠詞については、 『英文法の鬼100則』でももちろん取り上げられていました。
この本では、冠詞の解説がさらにパワーアップしています。
なんと、『英文法の極意』では、3章と4章が冠詞や可算名詞・不可算名詞の解説で、合計90ページが費やされています。
『英文法の鬼100則』の約3倍のページ数です。
特に、複数形や the の総称用法の説明は、他の本にはあまり載っていないのではないでしょうか。
認知言語学の知見を利用して、他にはない独特な解説がされています。
冠詞で悩んでいる人は買う価値ありです。
関係詞の使い方が分かる
関係代名詞の which は、that で置き換えることができるというのは基本的な文法の知識ですが、
「じゃあ which と that のどっちを使えばよいの?」
と思ったことはありませんか?
さらには、関係代名詞は省略することもできますので、which や that の省略が可能な場合、whichを使う、thatを使う、省略する、の3パターンがあります。
このような関係詞について、認知言語学や、実際の文章でどのくらい使われているかのデータを踏まえ、どのように使い分けをすればよいかが書かれています。
関係詞の使い分けを詳しく解説してある本を初めて見ました。
僕もどれを使えばよいか、迷ってしまうことがありましたが、大変スッキリしました。
オススメできる人、できない人
公式サイトによると、『英文法の鬼100則』は中級者向け、『英文法の極意』は中上級者向けということでしたが、正直、2冊を比べても難易度の違いはほとんど感じませんでした。
対話形式なので、簡単に感じたのかもしれません。
レベルの違いというより、重視する文法項目の違いという感想を持ちました。
確かに、『英文法の鬼100則』は浅く広く、『英文法の極意』は狭く深くというコンセプトは感じます。
しかし、『英文法の極意』でフォーカスしている部分が苦手であれば、『英文法の鬼100則』を読んでいなくても『英文法の極意』を読むのはありだと思います。
具体的には、冠詞や関係代名詞ですね。
とりわけ、冠詞については相当力が入っていますので、苦手意識がある方は必見です。
特にそういう理由がなければ、『英文法の鬼100則』から読んだ方がよいでしょう。
もちろん、『英文法の鬼100則』を読んで面白かった、役に立ったという人には、『英文法の極意』も是非お勧めします。
『英文法の鬼100則』と被るところも多少はありますが、上に書いた通り、重視するポイントが違うので、文法の気持ちをより深く理解できると思います。
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