google-site-verification=sRxM2vML3647WBFl5wm4irWuGu0LCYrOu8W6nHrpe6U

諸君、くらいたまえ

雑記・勉強したことなど

いつまで暗記に頼るの? 『英文法の鬼100則』で文法が鬼のように分かる!

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。

タイトルで敬遠するのはもったいない!
画期的な英文法書の紹介です。

英文法の勉強が好きかと聞かれれば、たいていの人がNOと答えるでしょう。
意味が分からないままとりあえず暗記するだけでは、無味乾燥でつまらないしあまり効果もありません。

「でも、文法なんて暗記でなんとかするしかないじゃん」
「例外パターンは結局暗記するしかないんだよなあ」

と思った人に、とってもピッタリの本が『英文法の鬼100則』。
「文法の気持ち」を知ることで、つらい暗記にせっせと勤しんで無駄な労力を費やすことなく英文法を理解することができます。

 

 

目次と構成

まず目次を載せておきます。
目次を見る限りでは、スタンダードな文法書ですね。

1章 英語の世界の3つの基本
2章 動詞① 文型:動詞を単語で捉えるな、文型で捉えろ
3章 動詞② 時制:実は私たちは時間をこう捉えている
4章 動詞③ 現在分詞:ingはここから考えよう
5章 動詞④ 過去分詞:イメージから理解しよう
6章 動詞⑤ 動詞の原形:その意味を考えたことがあるか
7章 動詞⑥ 仮定法:「実際そうじゃないけど」
8章 動詞⑦ 助動詞:それは事実なのか、思っているだけなのか?
9章 名詞:動詞が「木」なら名詞は「木の実」
10章 形容詞と副詞:「修飾する」の真実
11章 前置詞:これが捉えられれば熟語を攻略できる
12章 語順:語順自体が持つ「心理」を理解せよ
13章 説得するための英語:「型」を作り英語で思考するトレーニング

 

1項が4ページで、各章は5~10項の構成です。

 

鬼100則というタイトルからは、読みとおすのが非常にキツそうな印象を与えます。
例えば『英語リーディング教本』や『英文解釈教室』のような、読者に非常な努力を課すストイックな本だと私も思っていました。

 

 

ところが、そのような期待(?)は裏切られました。もちろん、いい意味で。
確かに1項=4ページ×100項なので、全部で約400ぺージと分量は多いですが、それを感じさせない内容です。
絵が多用されているし、文章も1段落がほぼ1文、たまに2文ですぐ改行というテンポなので、読みやすいブログのような感じ。

 英文法の鬼100則

 

これが本当のフィーリング 英文法に宿った「気持ち」

この本が画期的なのは、認知言語学の知見を用い、英文法の「気持ち」を解説しているところです。

「認知言語学」という言葉はあまり聞きなれないと思いますが、これは
文法には「人間の気持ち」が宿っている
という観点から言語を研究する、学問の一分野です。

 

学習する側からすれば、文法なんてただの箱にしか見えないかもしれませんが、言語は人間の表現手段。
どれだけ難しくても、そこには人間の「伝えたい」「表現したい」という気持ちが反映されています。

  • 未来形ってwillでもbe going toでもいいんだよね?
  • 過去形も過去分詞形も一緒でしょ?

いやいや違うんです。
同じように見えても、そこに込められている気持ちがあるんです。

気持ちが理解できれば、いちいち頭の中をひっくり返して正解を探さなくても、英語が自然と分かってきます。

 

暗記不要というのは、暗記が不要なぐらい自然に文法が分かるという意味です。
文法を単純化して、できるだけ難しいことを回避しようという趣旨ではありません。

英語に文法なんて要らないよ派は、「文法はフィーリングでなんとかなる」とか「気持ちがこもっていれば単語だけで伝わる」と言うかもしれませんが、そんな表面上のものではなく、本当の意味での英語の気持ち・フィーリングを身につけることができます。

リーディング・ライティング・スピーキングの3技能の向上に役立つでしょう。

 

著者の時吉秀弥氏は、東京大学の認知言語学の研究者、つまり本当の専門家のところで英語を学んでいます。
一方、予備校で20年以上も英語を教えてきました。
だから、学術的な知識に基づいた英語を、難しいまま教えるのではなく、高校生でも分かるように伝えられるわけですね

内容の紹介

本書のなかから、私が面白いと思った内容を少し紹介します。

動詞のアスペクト

上で書いた目次を見てもらえれば分かるように、本書のメインは動詞です。
時制は文法学習の初期に学ぶものの、時制をスッキリ理解するのはなかなか難しいですよね。
例えば 現在形と現在進行形のどちらかを使った方がよいか、迷ったことはありませんか?

動詞が、「やり始め・やっている最中・やり終えた後」のどの段階にあるのかを表すのがアスペクトです。

 

例を挙げると、eat は「いただきます→もぐもぐ→ごちそうさまでした」の一連の動作を表します。
この動作をひとまとまりにしたプロセス全体が eat で表されています。

一方、この全体のなかから途中を取り出した「もぐもぐ」を取り出したのが、 ing形の eating です。

 

英文法の鬼100則 動詞のアスペクト

例文の下に書いてある赤い文字が、説明したことを例文に即して解説してくれるので、理解を助けてくれるのもポイントが高いですね。
一回説明されたことを何回も地の文で書かれるとくどいので、ちょうどいいバランスです。

 

時制の概念が明確に言語化されていて、時制はそれなりに分かっているつもりだった自分にとっても、より理解を深められました。

助動詞

動詞に関連して、助動詞の話も多いです。
特に、willの使い方については非常に詳しく説明されています。

未来のことを表すにはwillとbe going toのどっちでもよい、どちらも意味は同じ。
と習った人はいないでしょうか。

 

will のコアイメージ(中心的な意味)は、意志と予測です。
だから、

I will go to Kyoto.

だと「よし、京都に行こう」と思った、(少し大げさですが)今決意した、という意思がはっきり表されていることになります。

また、

It will rain tomorrow.

だと、「明日雨になるだろうな」と予測したことになります。

普通、意志や予測は未来を見据えてするものなので、結果的にwillは未来を表すということです。

 

一方、
I am going to go to Kyoto.

は、京都に行くことは決まっていて、その「京都に行く」イベントに向かっているという意味がでます。
だから旅行の準備をしている場合は、will ではなくこちらを使います。
イベントに向かう途中ということで、現在進行形が使われるわけなんですね。

厄介な前置詞

次の文章で、for と to のどちらを入れるべきかパッと分かるでしょうか?

  1.  I bought some food (for / to) him.
  2.  I gave some food (for / to) him.

このように、第4文型を第3文型に書き換える場合、for を使うか to を使うかは動詞によって違います。

簡単に言うと、for は引き換え・代理の意味があるので、「代わりにやってあげる」動詞の場合は for になります。
彼が自分で some food を買うのではなく、私が彼の代わりに買ってあげているので、buy の場合は for が正しく、1は for が正解です。
2で for にすると、彼が some food を与える代わりに、自分が some food を与える(?)という意味不明な文章になってしまいます。

「代わりにやってあげる」のではなく、単に渡すだけの場合は to になので、2は to でないといけません。

この原則さえ理解してしまえば、for を取る動詞と to を取る動詞をいちいち暗記しなくても、感覚で分かります。

 

前置詞については本書でも一章が割かれていますが、続編の『英熟語の鬼100則』でメインに扱われています。
英熟語って、最も難しいのは前置詞の使い方ですよね。
私は『英熟語の鬼100則』はまだ未読なので、近いうちに読みたいと思います。

『英文法の鬼100則』をオススメできる人・できない人

『英文法の鬼100則』は文法書ですが、文法を1から解説する本ではありません。ある程度は英文法を学んでいることが必要でしょう。
「過去分詞形って何だっけ?」「分詞なんて聞いたことがない」という人がいきなりこの本を読むのはきついと思いますのであまりオススメできません。

また、文法の気持ちを分かりやすく解説した本ではありますが、文法用語が出てこないわけではありません。
なんなら5文型の話から始まります。
文法を回避する本ではないので、英文法に一切触れたくない人には勧められません。


ただ、ガッツリと文法を知っている必要は全くありません。
むしろ、「なんかよく分からん。とりあえず暗記するしかないか」と、無駄な労力を費やさなくて済むように、文法の勉強の早い段階でこの本を読むのが効果的です。
文法の気持ちを理解できたら、機械的な暗記に頼るよりもはるかに深く楽に英語を理解できます。

高校生・受験生であれば、文法を一通り勉強したあと、本書を読むのがオススメですね。

また、英文法を勉強したら、そのつど『英文法の鬼100則』で該当する箇所を読んでいくやり方もいいでしょう。
『英文法の鬼100則』は文法の項目ごとに章立てされていますので、

(授業や別の本で)時制を勉強する
→『英文法の鬼100則』で時制の章を読む
→(授業や別の本で)分詞を勉強する
→『英文法の鬼100則』で分詞の章を読む

という使い方ができます。

 

時間が無い場合は、苦手なところだけを読むのもありです。
受動態、仮定法、冠詞などなど、途中だけを読んでも得られるものは多いです。

 

教える立場にある英語教員にも是非読んでほしいです。
もちろん、日々英語に接している教員は、この本に載っていることは感覚的に知っていることが多いと思います。
例えば、「to+動詞の原形」と「ing形」の違いなど、なんとなく分かっている人の方が多いでしょう。
しかし、感覚的なものを学生たちに伝えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

『英文法の鬼100則』は、その「なんとなく」を言語化した本です。
英語の感覚を授業でうまく伝えられるようなヒントがたくさん詰まっています。
「ほかの授業じゃ説明してくれなかったけど、先生のおかげでスッキリ分かった」という学生の笑顔が見られるに違いありません。 

関連記事

『英文法の鬼100則』の続編、『英文法の極意』のレビューはこちら:
『英文法の極意』のレビュー! 『英文法の鬼100則』との違いは?

 

英語をより深く理解するために、語源を学びましょう:
英単語の語源を学ぼう! オススメの本を紹介します